2014年 03月 15日
「おじいちゃんの封筒」 |

現在は絶版で、手に入れるのは難しい本です。と言いつつ、Amazonで売っています…。私はこの本を持っていませんが、図書館で借りて読みました。
写真は「古道具坂田」の店主、坂田和實さんの個展の際に展示されていたおじいちゃんの封筒です。ずらりと並べられた定型サイズの封筒。紙の種類は様々です。初めて、これを見た時、なぜこんなに封筒が並べられているのかわかりませんでしたが、気になる作品でした。とても形が美しく、おしゃれだなと思いました。
その後「古道具坂田」に行った際、坂田さんから、おじいちゃんの封筒のことや本の話を伺いました。
著者の藤井咲子さんのおじいちゃんが80歳くらいから95歳まで、「年寄りは手を動かす方が健康にいい」ということで、朝から晩まで、家にあった紙を使って作った封筒だそうです。要は、ボケ防止のためということですね。
おじいちゃんが亡くなった後、偶然、藤井さんが封筒を見つけ、坂田さんの所に持っていき、最終的に一冊の本になったそうです。
おじいちゃんは元大工。封筒作りを「紙の仕事」と呼び、その工程に合わせて、包丁やペーパーナイフ、カッターなどを使い分けたり、紙を糊付けしやすいようにヤスリをかけたり、職人としてのこだわりがあったそうです。
本の中で、藤井さんや坂田さんも書いていますが、誰かに見せるためでもなく、作品として何かを表現するためでもなく、ただ一日中、黙々と作っていただけの封筒が、孫の藤井さんや坂田さんの心を動かし、本となって世に出る。おじいちゃんの封筒には、人の心を惹きつけるような美しさや力強さがあるのかもしれません。
この本のいきさつを聞き、縁というか、すごいつながりに驚きました。そして、私もおじいちゃんの封筒を直接見ることができ、その魅力に触れることができてよかったと思います。
by ao-yoru-sora
| 2014-03-15 21:46
| 本