2014年 02月 23日
繰り返し読む本 |

「星々の悲しみ」(宮本輝 著)
この本は短編集で、「星々の悲しみ」もそのうちの一編です。この本に出合ったのは、高校生くらいの時です。それ以来、時折、読んでいます。何度も何度も読んでいます。年にたくさんの本を読む読書家ではありませんが、お気に入りの本は何度も読みます。
大阪に住む浪人生とその友達、そして星々の悲しみという絵にまつわる話です。絵についての描写で以下の文章があります。
「葉の繁った大木の下で少年がひとり眠っていた。少年は麦わら帽子を顔に載せ、両手を腹のところに置いて眠り込んでいるのである。大木の傍に自転車が停めてあり、初夏の昼下がりらしい陽光がまわりを照らしている。さやかに風が吹いているのか、葉という葉がかすかに右から左へとなびいている。それだけの絵だった。絵の下に小さな紙が貼られてあり、そこに絵の題と作者名が記されていた。〈星々の悲しみ 嶋崎久雄 一九六◯年没 享年二十歳〉。」
この文章を読むたびに、星々の悲しみという絵がどんな絵なのか、想像します。そして、この絵は何を伝えるために描かれたのか、考えさせられます。
この本は何度読んでも、新しい発見があるというか、こんなことが書いてあったんだと気づきます(ただ単に内容を忘れてしまったのではなく…)。読んだ時の自分の精神状態や何に興味があるかなどに関係していると思います。
余談ですが、宮本輝さんの他の本が好きかというと、そうでもないです…。ファンの人がいたら、すみません!
by ao-yoru-sora
| 2014-02-23 00:57
| 本